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給料を上げても、人が来ない。建設業の採用難を抜け出す会社がやっていること

建設業で人を採ろうとしている経営者の方なら、この数字は肌で感じているはずです。

建設業の有効求人倍率は、全産業平均が約1.1倍のところ、業界全体で5倍前後。そして型枠大工・とび工・鉄筋工といった現場の職人——建設躯体工事の職種になると、時期によっては10倍近くにまで跳ね上がります。求職者1人を、10社近くで奪い合っている計算です。

これはもう、「採用がうまいかどうか」の話ではありません。椅子が10脚あって、座る人が1人。選ぶのは、会社ではなく、求職者のほう。そういう時代になりました。

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賃上げは進んでいる。それでも、人は来ない

「給料が安いからだろう」——そう思われるかもしれません。でも、実はそこはかなり改善しています。公共工事の設計労務単価は14年連続で上がり続け、建設業の賃金水準は着実に底上げされてきました。

にもかかわらず、人は来ない。ここに、この問題の本質があります。賃上げは、もはや「入口の条件」であって、「決め手」ではなくなったのです。給料が上がっても人が来ないなら、求職者は給料以外の何かを見て、会社を選んでいる。その「何か」に手を打てるかどうかが、勝負を分けます。

正直に言うと、私はこの状況を、そう悲観していません。理由は単純で、規模の小さい会社ほど、その「何か」で勝てる余地が大きいからです。大手のように潤沢な採用予算がなくても、富山の中小企業が逆転できる場所が、ちゃんとあります。

人が集まり、辞めない会社が整えている3つのこと

約30年、人の心と体の現場を見てきて分かったのは、「人が定着する会社」には共通点があるということです。特別なことではありません。心・体・制度の3つを、地道に整えているだけです。

① 体:「きつい・汚い・危険」を、本気で減らしている

建設業は、どうしても体に負担のかかる仕事です。重い物を運ぶ、中腰で作業する、同じ姿勢が続く。腰痛や肩こりは、いわば職業病。でも、ここで差がつきます。

負担そのものをゼロにはできなくても、減らす工夫をしている会社には、人が残ります。正しい体の使い方(腰ではなく股関節から持ち上げる、など)を教える。作業手順を見直す。休憩をきちんと取らせる。理学療法士の視点で言えば、これだけで身体の消耗はかなり変わります。「この会社は、体を大事にしてくれる」——その実感が、定着につながるのです。

② 心:「辞めます」の前に、声をかけられる空気がある

人が辞める最大の理由は、実は給与ではありません。人間関係です。特に建設現場は、上下関係が厳しく、我慢が美徳とされる文化が根強く残っている職場も少なくありません。

若い人は、そこを敏感に見ています。怒鳴られないか。困ったとき相談できるか。ミスを責められて終わりじゃないか。心理的な安全——安心して働ける空気があるかどうかが、「この会社で続けられそうか」の判断を左右します。私自身、パワハラ気質の上司の下で働いた経験があるので、その空気が人をどれだけ消耗させるか、身をもって知っています。

③ 制度:整えた努力を、「見える形」にしている

体を守り、心を守る。その取組を、きちんと「仕組み」にして、外から見えるようにする。ここまでやって、はじめて採用の武器になります。

たとえば健康経営優良法人の認定。求人票や採用ページに認定ロゴがあるだけで、「この会社は従業員を大切にしている」と伝わります。認定ロゴを載せたら応募が変わった、という例は珍しくありません。せっかく良いことをしていても、見えなければ、求職者には届かないのです。もったいない話です。

富山の建設会社だからこそ、勝てる

富山の建設会社の多くは、顔の見える規模です。これは、採用競争において大きな武器になります。

大手ゼネコンのように何百人もいれば、一人ひとりに手は届きません。でも数十人の会社なら、社長が現場の空気を肌で感じられる。誰がしんどそうか、どの班がぎくしゃくしているか、気づける。小回りが利く。だから、心と体に素早く手を打てる。この距離の近さこそ、富山の中小企業の強みです。

採用サイトに大金を投じる前に、いま働いている社員が「この会社、悪くないよ」と言える職場をつくる。その口コミこそ、10倍の競争を勝ち抜く、いちばん確かな採用力です。人は、人がいる場所に集まります。

おわりに——採る前に、辞めない会社に

有効求人倍率10倍という数字は、確かに厳しい。でも、裏を返せば——ほとんどの会社が「採ること」ばかり考えて、「辞めないこと」を後回しにしているということでもあります。そこにこそ、勝ち筋があります。

穴の空いたバケツに、いくら水を注いでも溜まりません。まず穴を塞ぐ。心・体・制度を整えて、いま社員が辞めない会社にする。それが、遠回りに見えて、いちばんの近道です。

富山で建設業を営み、採用や離職に悩んでいる経営者の方へ。「うちの穴はどこにあるんだろう」と感じたら、それはもう良い兆しです。当社では、心(メンタル)・体(身体)・制度(仕組み)の3方向から、御社の離職リスクを見える化するお手伝いをしています。公認心理師として心を、理学療法士として体を、両面から読み解き、中身から設計します。まずは気軽に、現状をお聞かせください。

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※有効求人倍率は厚生労働省「一般職業紹介状況」に基づく数値で、職種・時期により変動します。建設躯体工事従事者の倍率は時期によって8〜10倍前後で推移しています。

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