MENU

ストレスチェックを「実施しただけ」の会社が、静かに失っている3つのもの

「うちはちゃんとストレスチェックをやっている」——そう考えている経営者の方に、ひとつ質問があります。

その結果を見て、去年、何か手を打ちましたか?

「実施はした。結果は……見ていない」。もしそうなら、この記事はあなたの会社の話です。安心してください、責めるつもりはありません。私も資格試験のテキストを買っただけで勉強した気になったことが、何度もあります(買っただけでは、受かりません)。

ストレスチェックも同じです。実施しただけでは、ただの年中行事。しかも困ったことに、やった側には「対策済み」という安心感だけが残ります。この安心感が、いちばんの曲者です。

目次

なぜ「実施しただけ」で終わってしまうのか

従業員50人以上の事業場では、ストレスチェックの実施が法律で義務づけられています。多くの会社は外部業者に委託し、従業員に回答してもらい、集計結果を受け取る。ここまでは、たいていの会社ができています。

問題はその先です。返ってきた報告書の数字を見て「では、どうするか」を考え、実際に動く会社は驚くほど少ない。理由は単純で、数字の読み方も、その後の打ち手も、誰も教えてくれないからです。実施を請け負った業者の仕事は「実施」まで。社内に読める人もいない。結果、分厚い報告書はキャビネットで静かに眠り、翌年また同じことが繰り返されます。

では、その眠っている報告書と一緒に、会社は何を失っているのか。3つあります。

失っているもの①:従業員からの「静かなSOS」

ストレスチェックの結果は、従業員からのSOSです。それも、声に出せない人が数字という形で出してくれた、精一杯のサインです。

高ストレスと判定された従業員を放置すればどうなるか。多くの場合、本人は限界まで我慢し、ある日「辞めます」と言ってくるか、休職に入ります。経営者からは「突然」に見えますが、違います。会社は事前にサインを受け取っていたのです。見なかっただけで。

これは前回までの記事で書いた「心のサイン」「体のサイン」と同じ構造です。人は限界の前に必ず小さなサインを出す。ストレスチェックは、それを数値で可視化してくれる貴重な仕組みなのです。

▶ 関連記事:出社しているのに力が出ない——健康経営の「見えないコスト」の話

失っているもの②:問題のありかを示す「地図」

ストレスチェックには「集団分析」という機能があります。部署ごとのストレス傾向を見ることで、どの職場に問題が集中しているかが分かる。いわば問題のありかを指し示す地図です。

ある部署だけ極端に数値が高いなら、そこには業務量の偏り、マネジメントの問題、人間関係の悪化——何らかの構造的な原因が潜んでいます。地図を持っているのに、広げない。これは、離職という損失を自ら選んでいるのと同じことです。

ただし、ひとつ正直に言っておきます。私は公認心理師としてストレスチェックに関わりますが、数値より現場の空気のほうが正直だと思っています。数値はきっかけであり、答えは現場にある。だから私は、数値と人の両方を見ます。地図を広げたら、次は現地を歩く。それが約30年、現場で染みついたやり方です。

失っているもの③:すでに持っている「採用の武器」

いまの求職者は、会社の「働きやすさ」を厳しく見ています。給与だけでなく、「この会社は従業員を大切にしているか」を見ている。

ストレスチェックの結果をもとに職場を改善し、それを「見える形」にできれば、強力な採用の武器になります。この取組を積み重ねれば「健康経営優良法人」の認定にもつながり、認定ロゴを採用ページに掲げるだけで応募が変わった例は珍しくありません。

つまり、実施しただけで終わる会社は、すでに手の中にある採用の武器を、使わずに捨てているのです。せっかく毎年コストをかけて実施しているのに。もったいない、の一言に尽きます。

明日からできる、最初の一歩

難しく考える必要はありません。まずは3つだけ。

ひとつ目、去年の報告書をキャビネットから出して、もう一度開くこと。高ストレス者の人数と部署ごとの傾向を眺めるだけでも、見えてくるものがあります。

ふたつ目、最も数値の悪い部署に注目すること。その部署で何が起きているのか、業務量・人間関係・マネジメントの視点で考えてみてください。

みっつ目、高ストレス者に声がかかる仕組みをつくること。専門家の面談が理想ですが、まずは信頼できる管理職の「最近どう?」から。サインは、受け止める人がいてはじめてサインになります。

どれも、今日からコストゼロで始められます。大切なのは「実施して終わり」から「結果を使う」への発想の転換だけです。

おわりに——仕組みは、裏切らない

心のケアも、体のケアも、担当者の善意だけでは続きません。人は忘れるし、異動するし、疲れます(私もです)。だからこそ、仕組みにする。仕組みになった取組だけが、担当者が変わっても生き残り、社外にも伝わり、採用の力になります。

ストレスチェックは、その仕組みづくりの最初の一歩として、すでにあなたの会社にあるのです。使わない手はありませんね。

「結果の読み方がわからない」「何から手をつければいいか迷う」——それは恥ずかしいことではなく、そこに気づいた時点で多くの会社の一歩先にいます。当社では、ストレスチェックの結果を「職場改善」と「採用力」に変えるお手伝いをしています。公認心理師として数値を読み解き、理学療法士として身体面も含めた施策まで、中身からつくります。

📋 無料相談(オンライン30分)を受け付けています

「うちの結果、どう活かせばいいのか」を一緒に整理します。売り込みは一切いたしません。御社の状況をお聞きした上で、改善の優先順位を率直にお伝えします。

無料相談を申し込む(所要3分)

※ フォーム送信後、こちらから日程調整のご連絡をいたします

▶ 関連記事:介護現場では『腰痛で辞めます』。一般企業では『一身上の都合』。」 –>社しているのに力が出ない——健康経営の「見えないコスト」の話

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次